2008年03月08日
ブルーライト北新地
「オレンジ・レディー」 1,575円(税込み)
「夕焼け」 1,575円(税込み)
マスターの松山さん
ホットサンド 1,050円(税込み)取材もいよいよ、3軒目。今日はあの北新地へいざ、出陣だ。
そう言えば先日、名古屋から来た人と、大阪駅からタクシーに乗った事を思い出す。
御堂筋に入る少し手前で、運転手さんが親切にこう言った。「ここが、北新地でっせ」
「これが、あの有名な場所?」
その人は感嘆の声をあげ、そして車窓に映る後ろへ向って飛んでいくネオンの光を、名残惜しそうに眺めていた。
そんな北新地は、大阪人にとってもやはり少し敷居が高い場所。
精一杯のオシャレをし、少し背筋を伸ばして向ったバーは、この街のメイン通りにそびえるビルの10Fにある。
緊張して足を踏み入れた店内には、張り詰めた気持ちを一瞬にして溶かしてくれた、チャーミングで人懐っこく、それでいて丁寧な物腰が印象的なマスターがいた。
名前を、松山さんと仰るのだそう。
先日学んだ「ホーゼスネック・スタイル」をもう一度見てみたいな。
そう思っていたら、以心伝心?
差し出されたひとつ目のカクテルは、まさにそのホーゼスネックだ。
「オレンジ・レディー」と名づけられたこのカクテル、シーバスを40ml、グランマニエを1tsp加えて、シェイク。そして適量のトニックウォーターを加えたのだそう。
やはり、オレンジとシーバスは合う。見事なバランスだ。
ちなみに、この中に果汁は入っていないのに、リキュールとは違うオレンジの味がするのは何故?
人は舌だけで、ものを味わうものではない事を思い出した。皮から漂う、南国の空のようなオレンジの香りを、私の鼻がキャッチして、そしてあたかもこの果物を口にしたかのように感じたのだろう。
ふたつめの、カクテル。
「夕焼け」と言う名がついているそうだ。
陽が落ちた直後の空を眺めると、いつも、どこかに何かを忘れ物したような気分になる。
遠い日の思い出?
一体なんだろう。
「夕焼け」の作り方は、手が込んでいた。
グラニュー糖と砂糖を1:1に調合したものでシロップを作り、そこにジャスミンの葉を入れて火にかける。さらにジャスミンの葉と、水を加えて、煮る。出来上がったものを凍らせて、その氷をふたつと、普通の氷ひとつの中で、シーバスを90mlステアする。
ステアは、ただまわすだけでは、氷の甘さがシーバスと混じるだけ。ほんのりと、ウィスキーにジャスミンの香りを移す。これが、プロの仕事だ。
アンティークガラスを思わせるグラスに注がれた琥珀色の液体は、どこか懐かしい香りがする。
そして、忘れた何かを思い出した。
それはきっと、子どもの頃に流れていた、ゆっくりとした時間だ。
松山さんはこう言った。
「飲み始めと、飲み終わりまで、同じ味わいでなければいけません」
ここのお勧めだというホットサンドを口にしながら私は、丁寧に創られたカクテルはまさに、松山さんそのものだな、と思った。
松山さん、今度はこの北新地に憧れる、名古屋人と一緒にまた遊びにきますね。
今日はご馳走様でした。

■Eskal
├大阪府大阪市北区曽根崎新地1-7-5バサラビル10F
├TEL:06-6344-5621
├平日 18:30~03:00・土曜日~23:00
├チャージ:1,050円
└定休日:日曜・祝日
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